公開シンポジウム・課題研究

公開シンポジウム
「教師教育 を原理的に問い直す~教師を目指す学生が大学で学ぶべきことは何か?」

目的 

 大会テーマ「教師教育を原理的に問い直す」のもとで、公開シンポジウムを設定した。中心にある問いは、「教師を目指す学生が大学で学ぶべきことは何か」というものである。「教師を目指す学生が大学で学ぶべきこと」は、この30年間の「改革」、とりわけコアカリキュラムの設定によってある意味で明確にされたと言うこともできるだろう。しかし、改めてこの問いの追求を通して、場当たり的な対応ではない、射程の広い教師教育の視野(地図)を得たいと考える。

 「原理的に問い直す」とは、例えば他の領域における知見との隠された意味のつながりを探索することである。研究・実践の方法や内容の表面的な違いを超え、同じ問いに対峙する者として、大学において教師を育てることの意味を探る場としたい。

詳しくは、本HP「開催概要」の中の「大会テーマ・趣旨」を参照してください。

内容

 ■発題・司会
  • 佐藤英二(明治大学)
 ■シンポジスト
  • 山崎奈々絵(聖徳大学)
  • 岡部美香(大阪大学)
  • 鹿毛雅治(慶應義塾大学)
 ■指定討論
  • 浜田博文(筑波大学)

課題研究Ⅰ 「教師教育研究の成果と課題の検討 (その3)
―今後の教師教育研究に向けて― 」

趣旨

 今期の課題研究Ⅰ部会では、『教師教育研究ハンドブック』(2017年)の部構成を手がかりにして、これまでの教師教育研究の研究レビューを積み重ね、教師教育研究の全体マップを作成することを目指してきました。ハンドブックの全てをレビューしてはいないので、全体マップを作成するところには到達できていませんが、従来の教師教育研究の研究対象、研究方法、研究視角、隣接研究領域との繋がり方などをめぐって、今後の研究にとって重要と思われるいくつかの課題が浮かび上がってきました。

そのような今期の部会での議論を踏まえながら、最終報告として3人のメンバーが「今後の教師教育研究に向けて」ということを意識しながらから報告を行います。論点はかなり幅広いものになると思いますが、「教師教育研究の新たな地平を切り拓く」という方向で参加者の皆様とともに活発な討議ができればと考えています。

内容

  • 2020年9月12日(土)9時~12時
  • オンライン開催
【司会】
  • 山崎準二、浜田博文
【報告者】
  • 髙谷哲也  教師集団による研究・学習の場で教師教育研究者が果たす役割について
  • 三品陽平  教師教育領域における質的研究論文の質について―形式的要件の観点より―
  • 長谷川哲也 「教員育成」の政策動向と「教師教育」の研究課題について

課題研究Ⅱ 「教師教育改革の国際動向と比較研究の課題」

趣旨

今期の課題研究Ⅱ部会では「教師教育における社会的公正の観点と課題」をテーマに研究を行っている。子どものニーズが多様化するなか、社会的公正の視点を有する教育や、その教育の担い手を育成するための教師教育が必要とされているが、こうした課題は本学会の課題研究等において十分に対象化されてきたとは言い難い。そこで本部会では、教師教育において「社会的公正」や「社会正義」の概念がどのように位置づけられているのかを各国・地域の取り組みに即して捉えながら、そこで求められる教師像や教師教育の在り方について分析している。

1年目は、アメリカの教師教育施策を対象にして教師の職業的自律性や、それに基づく教師教育の自律的改善システムについて分析した。2年目は、教師教育における社会的公正を考えるための理論的・概念的枠組みを整理しながら、教育の場における多様性について、ヨーロッパの課題を分析した。最終年度の第30回大会では、オーストラリア、アメリカ、イギリスの取り組みを分析し、社会的公正の実現に資する教師教育やそれを支える仕組みについて議論を深め、3年間の研究の総括としたい。

内容

報告1

前田耕司(早稲田大学)「オーストラリア先住民族の専門職養成―ポストコロニアリズムと社会的公正―」

報告2

玉井康之(北海道教育大学)「アラスカ州の教師教育における社会的公正―地域協働型教師教育施策の検討―」

報告3

報告3 佐藤千津(国際基督教大学)「イギリスの教師教育における社会的公正―GTCS(General Teaching Council for Scotland)の取り組みから―」

司会

吉岡真佐樹(京都府立大学)、佐藤 仁(福岡大学)

課題研究Ⅲ 「教師教育『高度化』の政策的検討」

趣旨

課題研究Ⅲ「教師教育『高度化』の政策的検討」部会では、これまでに主に、(1)「教職大学院」の成立と展開に至る政策動向(およびその背景の力学等)の整理、および(2)いわゆる「ストレートマスター」を対象とした、大学院レベルでの入職前の教師教育実践の事例検討を進めてきました。

今回の大会のセッションでは、コーディネータよりこれまでの本課題研究での検討状況と、そこで見えてきた論点の報告を行います。後半は、それらの報告を基に、各方面からの話題提供を受けて意見交換を行うパネルディスカッションを企画し、参加者のみなさんとともに、日本の教職大学院を軸にした、修士レベルの教員養成教育の今後のありようを考える場としたいと思います。

オンライン形式で行う初のセッションとなりますが、ご関心のある方々の積極的な参加を期待いたします。

内容

【コーディネータ】
  • 岩田康之(東京学芸大学)
  • 三石初雄(東京学芸大学〔名誉〕)
【報告】

1)三石初雄(東京学芸大学〔名誉〕)

日本の高度専門職業人養成政策と教職大学院

2)岩田康之(東京学芸大学)

日本における教師教育の高度化:論点と課題

【パネルディスカッション:教職大学院の今後を考える】

パネリスト

  • 三石 初雄 (東京学芸大学〔名誉〕)
  • 前田 輪音 (北海道教育大学教職大学院)
  • 井上 温子 (元・大阪府和泉市立郷荘中学校)
  • 松野可奈絵  (茨城県 公立中学校教員)

特別課題研究Ⅰ 「防災・学校安全と教師教育」

趣旨

本研究会発足(2018年)以来の現地調査(阪神・淡路、長野、福島、熊本ほか)に、最近の視察(南海トラフ地震への準備をすすめる高知、東日本大震災の教訓を形にしようとする宮城石巻、2019台風を受けた長野)、および各メンバーの知見・研究を集大成して、大学教職課程の防災・安全教育カリキュラムの試案とガイドライン、ヒント集を作成してきた。小中高校、幼保、特別支援学校の教員も活用できるものを目指してきた。

 本報告で、防災・学校安全における教師教育の在り方を検討し、多くの先生がた、市民、学生、院生の意見を伺い、具体的に何をどのように子どもや学生に伝えていくかを検討したい。

内容

1) これまでの研究活動について

2) シンポジウム「防災・学校安全と教師教育」

【司会】

金馬国晴(横浜国立大学)・神永典郎(白百合女子大学) 

【指定討論者】

木内剛(元 成蹊大学) ・杉山一郎(消防防災科学センター)

(1)東日本大震災における石巻市立大川小学校の問題—これからの学校災害事故を防ぐための取り組みへの提案—
話題提供:中山正則(埼玉県越谷市立城ノ上小学校)

(2)日本の防災教育のこれから−学校がすべきこと、大学がすべきこと
話題提供:諏訪清二(兵庫県立大学大学院特任教授)

特別課題研究Ⅱ 「大学教育と教職課程」

趣旨

本特別課題研究は、教職課程の再課程認定についての教師教育学会会員アンケート(2018年5月)をきっかけとして、第28回大会(2018年9月)に発足した。大学教育における教職課程の問題について学問的な見地から検討を深めるために、これまで以下のような活動を行ってきた。

・2018年11月25日 シンポジウム「今、再課程認定を再考する」
(話題提供:鹿毛雅治氏、三村和則氏、指定討論:町田健一氏)

・2019年6月15日 公開シンポジウム「教師教育改革を問い直す」(学会主催)

・2019年9月22日 第29回大会課題研究
(発表者:勝野正章氏、牛渡淳氏、高野和子氏)

・2019年12月7日 公開研究会
(報告者:浦野東洋一氏「教育学部教員の多様化がもたらす波紋について考えてみる~主としていわゆる実務家教員と研究者教員の並存に関して~」)

・2020年2月11日 公開研究会
(報告者:三石初雄 氏「教科関連科目のコアカリキュラムと教師の専門職力量の向上」)

今年度の大会では、中教審教員養成部会の動向および再課程認定後の現状等も視野に入れながら、これまでの研究活動を総括するとともに、今後に向けた研究課題を明確化することを通して、大学で教員を養成することの意味や意義について検討を深めたい。

内容

【テーマ】

大学教育と教職課程

【コーディネータ】
  • 鹿毛雅治(慶應義塾大学)
  • 勝野正章(東京大学)
【報告者】

(1)教職課程の質保証とは―日本学術会議「教育学分野の参照基準」を念頭に―
   高野和子(明治大学)
(2)教職課程コアカリキュラムの再吟味―政策と研究の関わりを問う―
   牛渡淳(仙台白百合女子大学)
(3)教職課程カリキュラムの将来―教員養成系と開放制養成系の今後を展望する―
 伏木久始(信州大学):教員養成系の立場から
 仲田康一(大東文化大学):開放制養成系の立場から

国際研究交流部

趣旨

第10期の国際研究交流部は、これまでの国際“研究”色に“交流”をより重点化して出発し、会員の教師教育研究の国際化への情報提供・啓発を視野にいれて取り組んできた。その成果は、国際的な教師教育研究動向の情報交換を趣旨とするミニ研究会、UNESCO“Rethinking Education”の翻訳書刊行計画、および、それを基軸にしたWERA10th(2019.8)でのシンポジウム開催として示してきた。この第10期の活動経過と成果をふまえ、以下3点の報告と提案で、ポスター発表に示す。

内容

(1)翻訳作業が内包する問題と展開の可能性(UNESCO“Rethinking Education”翻訳とWERA10thシンポの実施から)

(2)公教育の目的に準じた教師教育をめぐる継続的で顕在的な対話の場の設定と参画

(3)学会のHUB機能としての国際研究交流部のありようと具体的方法(提案)

【作成】
  • 担当理事 矢野博之(大妻女子大学)
  • 担当 百合田真樹人(独立行政法人教職員支援機構)

研究推進・若手交流支援企画

【日時】2020年9月12日(日)16時半から

趣旨

従来、本学会で必ずしも注目されてこなかった幼児期の教育と小学校教育の連携・接続、教師の力量形成について、幼稚園教員・保育士、小学校教員の養成・研修を担う“教師教育者”と共にその実際や課題を考えたい。会の前半に行う話題提供者からの報告を元に、後半では参加者全員で①力量形成の実際とその課題、②連携・接続において教師教育者が担う役割について議論する。また、幼児期に限らず学校種間の連携・接続、その中で浮上してくる教師の力量形成の課題についても、関心ある多くの会員と共に議論が深められることを期待している。

内容

【話題提供者(所属、専門分野)】
  • 内田千春(東洋大学、乳幼児教育学・子ども学)
  • 近藤千草(川村学園女子大学・幼児教育学)
  • 浅野信彦(文教大学・カリキュラム研究・教師教育)
【司会者】
  • 望月耕太(神奈川大学)
  • 渡邉巧(広島大学)
【ファシリテーター】
  • 沖奈保子(東京都立国際高等学校)
  • 小田郁予(東京大学大学院[大学院生])
  • 田中里佳(上野学園大学)

研究倫理規程WG

■ 研究倫理公開研究会   9月11日(金曜日)  15:00~16:30  

趣旨

実践的な指導力・展開力を備える教員とスクールリーダーの養成 を目的として平成20年に19校でスタートした教職大学院は、現在全国54大学に拡 充され、今後の我が国の教員養成・教師教育施策において中心的役割を担ってい くことが期待されています。そこでは、新しい教師教育の実践と教師研究が生み 出されようとしており、本学会員の多くが既にその取組に参画しています。本公 開研究会は、教職大学院が抱える研究倫理の課題について情報を交換し、それら への対応について考えたいと思います。教職大学院で学生指導にあたっている皆 さん、そこで実践研究に取り組んでいる院生の皆さん、教職大学院の未来像に関 心を持っている会員の皆さんに多数ご参加いただき、問題意識を共有する機会に したいと考えます。 

※なお、本研究会は、研究倫理の啓発のために本学会が実施するZoom Meeting形式の学習会の可能性を検討する機会としたいと考えています。どうかご協力ください。 

内容

【テーマ】

「 拡充する教職大学院における研究倫理教育の現状と課題  」

【司 会】
  • 紅林  伸幸(常葉大学) ※研究倫理規程ワーキンググループ 担当理事
【報告者】
  • 岩田康之(東京学芸大学・教授)
【講演題目】
  • 教師教育研究の研究倫理を考える:教職大学院を素材として 

研究倫理学習会  12日土曜日  13:00~13:30

趣旨

昨年度の第29回定例総会において採択された研究倫理規程は、本学会員がそれを遵守徹底することによって、安心して研究活動に取り組めることを期待したものです。そのために、本学会は積極的に研究倫理に関わる情報提供と啓発活動を行っています。こうした取組を恒常的に実施し、また今後起こりうる様々な研究倫理の問題に適切に対応するためには、学会の組織体制をどのようにしていくのがよいか、会員の皆さんと一緒に考えたいと思います。多くの会員の参加をお願いしたいと思います。

内容

【テーマ】

「研究倫理の実質化に向けての学会組織体制の在り方」

【司 会】
  • 研究部会長 牛渡  淳(仙台白百合女子大学)
【報告者】
  • 研究倫理規程ワーキンググループ  担当理事   紅林  伸幸(常葉大学)